『てんかん市民の笑顔とぬくもり』
2026年2月7日
2026年2月7日土曜日、メトロポリタン仙台3F星雲の間にてSCAPE-Ⅷ2026が開催されました。今回は「てんかん対策基本法を語る」をテーマに、てんかん市民の皆様が駆けつけてくださりました。トピックごとに四つのセッションに分かれ、各先生方がご講演くださりました。また、記念講演では日本障害者協議会代表藤井克徳先生にご登壇いただきました。外では冷たい風が吹く一方で、会場は参加者のぬくもりに包まれていました。
まずセッションⅠでは、地方自治体アピール活動と題し、2025年10月28日に催された宮城県及び仙台市との懇話会と2026年のあり方について語りました。その中で、相談窓口の所在を明確にすることが大切であるとのご意見が上がりました。加えて、てんかん市民と行政で認識を共有し、将来につながる対話を継続することの重要性も話題になりました。仙台市議会議員鎌田城行様が「互いの悩みを溶かす。ときには一緒に溶かす」とおっしゃっていた場面が心に残りました。行政の目から見たてんかんの実際を知るための貴重な時間となりました。
続く記念講演では、藤井克徳先生が弁舌をふるってくださりました。ご自身の体験を交えた大変説得力のある講演となりました。藤井先生は講演を通して、出会いの大切さやゼロから新たに作りあげることの難しさを教えてくださいました。さらに個人のニーズを出発点として、様々な問題を人生全体から眺めて解決することの必要性を訴えました。「社会的障壁を除去する達人になってほしい」との力強いメッセージを残されました。講演の合間に藤井先生上梓の詩集『心の中から希望が切り離されないように』より2篇、朗読がありました。一言一句が会場に静かに深く沁み入り、多くの人の心を動かしました。
セッションⅡでは医科学研究、医療提供、福祉の現状と近未来像を主題に、現場の第一線で活躍されている先生方が壇上に上がられました。現在、医療現場では成人を診察する医師が不足しているとご指摘いただきました。これは高齢化が進んでいる日本では無視できない事実です。また、「てんかんは脳神経内科・外科が診察した方がよい」という考え方が広がっており、てんかん治療を受ける場所が限られている現状を伝えてくださいました。さらに、てんかん遠隔医療の可能性・オンライン診療についても解説してくださり、今後の進展を期待させる内容でした。
次いて参議院議員横山信一先生は、新薬を話題としてエピディオレックス、スピジアの詳細を解説してくださいました。エピディオレックスはドラベ症候群およびレンノックス症候群に効果があるとされています。現在は治験を通して様々な可能性を探っています。また、スピジアはダイアップを点鼻薬にしたものです。座薬よりも効果が早い点が特長です。今後教育現場で教師も使用できるよう、手続きを進めているとのことです。横山先生の「学校教育がてんかん理解のための一番よい機会である」とのお言葉が大変印象的でした。教育現場におけるてんかん理解の重要性が伝わってきました。
セッションⅢではてんかん専門医療の現場について当事者・ケアギヴァーからの視点より語っていただきました。当事者のご家族の発表においては、薬がいかに大切であるかを強く訴えておられました。また、当事者の生活リズムに合わせることに多大な努力をされてきたとのお話もしてくださりました。さらに、家族として当事者自身の異変に気付くことが困難である場合もあると教えていただきました。その一方、アートを通して自分を表現し、積極的な心で生きていらっしゃるというエピソードもありました。
最後のセッションⅣではてんかんケア実践者の立場より、当事者の現状を伝えてくださいました。てんかんに関連する制度は存在するものの、当事者に十分届いているとは言えない現実を丁寧に説明してくださいました。また、これからは当事者を患者である以前に一人の人であるという認識でもって支援することが肝心であると主張されました。さらに、働く意欲があるものの思うように働くことが出来ずにいるジレンマ、仕事に際する選択肢の少なさといった課題を提示してくだいました。加えて利用者のみならず支援者も高齢化しており、私たちに大きな宿題がある事を示してくださいました。
SCAPEには臨場感があります。講演はもちろん、お互いの近況報告や情報交換など、会場に直接足を運ぶことで初めて得るものがあります。多くの人々と交流し、お互いに鼓舞しあうことのできる素晴らしい場です。ときとして厳しい現実に直面するからこそ、笑顔で会うことのできる仲間の存在は一層尊いです。SCAPEが今後ますます発展することを願っています。
今年もお忙しい中SCAPE開催に尽力して下さった皆様に厚く御礼申し上げます。
ハンス・バーガー協会
生活支援員 太田 健司
特定非営利活動法人
ハンス・バーガー協会【アクセスMAP】
〒989‐2441
宮城県岩沼市館下1丁目2-20
TEL 0223₋36₋7782
FAX 0223₋36₋7783