第44回 夕べの集い 2024

主題てんかんのための夕べの集い2024は『仙台てんかんTUEB』にて生配信がございますので、是非ご覧ください。


芋煮会 10月3日・10月4日

あいにくの曇り空でしたが、芋煮会は楽しく行われました。

参加した利用者さんからは…『お腹いっぱいで美味しかった。』 『3杯もお替りしました。』 『また、芋煮会やりたいね。』 『4杯も食べていた人がいたよ。』など、皆さん楽しそうに感想を話されていました。

芋煮会の後は、皆さんでビンゴ大会を行いました。ビンゴ大会ではビンゴになった先着10名に景品がありましたが、景品が貰えた人も貰えなかった人も笑顔でとても楽しんでおられました。 

 


2024年度ハンスバーガー協会 総会

集合写真…

理事の方々…

総会と会食での様子…

利用者さんの笑顔…


【仙台てんかん医学市民講座】

仙台てんかん医学市民講座は『仙台てんかんTUBE』にてご覧いただけます。

ご視聴いただく際は、ポスターをクリックしてください。

市民講座での様子…


てんかん新時代の幕開けによせて

 

 2024年6月8日、仙台国際センター萩の間にて第 55 回仙台てんかん医学市民講 座が開催されました。この度もてんかん市民の皆様が多く足を運んでくださり、大変盛 況となりました。今回は「新しいてんかんの世界」をテーマに、普段はなかなか聞くこ との出来ない講演の数々が披露されました。

 まずは闘病体験発表からです。 今回は2名の方がご自分の体験をありのままに語ってくださりました。その中で夢を 持ち続けることの素晴らしさと、服薬を続けながら自分のてんかんと向き合うことの大 切さを懸命に伝えてくださいました。こうした貴重な話がより広くできる社会になるこ とを願わずにいられません。

 続きましては基礎から学べるてんかん教室です。はじめに、MRI 検査の原理とその 受け方に関する講演です。 MRI 検査の原理は、原子や分子などの回転の向きをコントロールするところにある 点が興味深いです。また、人体の波を電磁波で制御するという、波と波とのコミュニケ ーションが成立していると思うと神秘的な世界だなと感じます。

 MRI 検査の受け方も大変面白いです。先述のように MRI は電磁波を使用するので、 身に着けている金属に反応してしまいます。また、姿勢を長時間固定する点も MRI 検 査の特徴の一つです。そのため、検査前に受診者の心身の状態を共有することがとても 重要な検査なのだと知りました。

 てんかんではなかった症状についての報告も大変示唆に富んでいました。てんかんの 可能性を一つずつ取り除くために、多くの時間を必要とすることを初めて知りました。 また、倒れてけいれんする症状だけではてんかんであると断定できない実情も語ってく ださいました。

 てんかんでない故に、現在も自分の症状の正体が分からないまま生活している方がい らっしゃることと察します。症状に正確な名前をつけるという行為は、当事者と周囲の 人々を安心させるのだと改めて実感しました。

 続く IQ70 台の検査結果の考察も精緻な内容でした。自分の生きづらさを検査結果と いう形で可視化することはとても大切なのだと知りました。無理をせずに安心して生き るために心理検査は重要なのだと思います。当人のみならず、周囲の人々も助けてくれ る検査なのだと感じました。

 てんかんとともに毎日楽しく暮らすための講演では、日常生活における心がけや解決 策などを多く提案してくださいました。実際に多くの当事者が変化や刺激を探し求めて います。彼らが困っていることは何なのか、また長所は何なのかを見失わないことが肝要なのだと学ばせていただきました。

 ここからは第 55 回記念講演となります。 基礎脳科学講義における超回路脳機能の講義では、てんかんの世界に新たに光も参入 する時代が到来したのだと感銘を受けました。脳内の光の画像は星空のようでした。発 明家二コラ・テスラも「すべては光である」という有名な言葉を残しています。光によ って、今まで見えていなかったものが見えるようになっていくでしょう。そんな希望を 抱かせてくれました。

 また、社会科学講義における優生保護法に関する講義では、てんかんを法律の視点か ら捉えることの必要性を感じました。このような施策が国単位で実際に行われていたと は今でも信じがたく、残念です。この問題に立ち向かうには勇気と団結力が求められる のだと学びました。

 続きましては、連続講義です。 熱性けいれんの講義においては、けいれん時には落ち着いて対応し、名前を呼んで反 応を確認することの大切さを説いてくださいました。また、発作時の様子を動画撮影す ることを大切さを訴えてくださいました。一方、予防においては家族と医療関係者が協 力し合うことが必要であることを詳しく話してくださいました。そのためにも、ご家族 だけしか知らないお子さんの姿を伝えることが求められるでしょう。

 てんかんの診断学に関する講義では診断学の歴史を紐解き、過去に何が起こっていた のかを解説してくださいました。てんかんに関する説明が見つからなかった時代は、当 事者も医家も苦労したに違いありません。脳波検査や MRI などの登場で体内の様子を 可視化できるようになったことは革新的なのだと改めて実感します。

 いよいよ次の講演で最後になります。 抗てんかん薬開発における講義では、第三者に納得してもらえるよう多くの医療関係 者が日々努力されている姿が浮き彫りになりました。絶えず不規則に変化し続ける命と いうものを追い続けてデータをとるために、きっと莫大な労力が必要なのだと思います。 周囲を頷かせ、てんかん当事者のもとへ薬を届けるというのは大変な仕事なのだと知り ました。

 こうして市民講座が終わってみると、てんかんを取り巻く世界も命のようにゆらぎな がら変化していることを感じます。つい先日の 7 月 3 日、最高裁にて旧優生保護法は憲 法違反だとする判決が下されました。長い年月の努力がようやく報われ、てんかん市民 は大きな一歩を踏み出すことができたのです。本講座の講演はそれぞれ切り口こそ異な りますが、いずれもてんかん市民として幸せに生きるためにという想いでつながってい ます。また、市民講座というと大人の催しというイメージがありますが、どの方の講演 も次世代を担う小中学生に届いてほしい素晴らしい内容ばかりでした。

 最後になりますが、今回もお忙しい中多大な時間と労力を割いてくださった関係者の 皆様に厚く御礼申し上げます。本当におつかれさまでした。

 

                                                                                            太田健司