仙台てんかん医学市民講座  EPLS  Ⅴー2026第59回



てんかん支援にいまこそ新しい灯を

泉房穂明石市長が仙台のてんかん市民講座で記念講演

 

2026530()13:00より、仙台国際センター展示棟 展示室 3にてEPLS-

V 59回仙台てんかん医学市民講座 2026 春期34回が開催されました。当日は夏を先取りする陽気の中、多くの方が貴重なお時間を縫って会場へお越しくださいました。幕が上がると各プログラムに沿って演者の皆様が素晴らしい発表をご披露してくださりました。

 

<てんかん市民SpeakOut

 てんかん闘病記SpeakOutでは、母親目線から観たてんかんの姿を聴衆に説かれました。神仏に祈りながら当事者を見守る日々、薬の組み合わせ・種類・量の変化が当事者に与える影響など、実体験から溢れる言葉のひとつひとつが聴き手を圧倒しました。てんかんと向かい合いながら前を向き、あるいはアートに活路を見出すなど積極的に日々を過ごす姿は多くの当事者とご家族の希望となったことでしょう。

 

<てんかん何でも相談会>

 今回は「初回 てんかん『何でも相談会』」と題しててんかんに関することを会場内で相談できるようブースを設けました。今後、一人で抱えて悩んでいることや周囲に答えを与えてくれる専門家がいない問題などを解決する場となっていくに違いありません。

 

<「初めて聞く」てんかん教室>

 次いで「『初めて聞く』てんかん教室1 : てんかんケア実践講座PSE(15)」第一部におきましては病歴聴取やMRI検査の重要性、脳波検査の位置づけについての講演となりました。患者様やご家族が困っていることを探り、多職種で共有して治療を前進させることが欠かせないと伝えてくださいました。また、ひと口に画像検査と言ってもその種類は様々で、てんかん医療の懐の広さがうかがえる内容でした。痛みがない点が画像検査の長所であり、私たちが見落としがちな特長です。加えて、てんかん診断の決め手となる検査が脳波検査であることも易しく説いてくださりました。ときには長時間ビデオ脳波検査を実施、本人やご家族が気づかない脳波を見つけるために一切妥協しない姿勢を示されました。

 第二部はてんかん関係者の悩みや、てんかんとの向き合い方に焦点が当てられました。

当事者は社会の中で生きている存在であるため、発作が止まればすべてよいとは限らないことを力説されました。彼らの心の内側を支える人はいるのかという問いが深く余韻に残ります。自尊心や自己肯定感を育むのが大変難しいのが当事者の大きな悩みです。

そんな彼らにどのような言葉をかけることができるのでしょう。

 また、てんかんと向き合うコツをてんかんに明るくない方にも伝わる平易な言葉で解説されていました。てんかんの世界を日常の言葉にかみ砕くことは実は大変難しいです。例えばコツの一つとして、てんかんを伝えるために「相手が安心できる話し方を」

心がけることの大切さを強調されていました。てんかんに不安を抱いているのは当事者だけではないのだと気づかされるお言葉でした。その他にも聞いたその時から実践できるコツを紹介されており、大変説得力がある講座となりました。

 

<記念講演:泉房穂前明石市長>

一息入れるといよいよ記念講演の段となりました。今回は前 明石市長で参議院議員を務めていらっしゃる泉房穂先生にご足労いただきました。「子どもを応援すれば、みんな幸せ」と題し、大変熱のこもった講演となりました。子どもという言葉は誰かの助けを必要としている存在の象徴なのだと聴衆に訴えておられました。ご自身の半生、艱難辛苦を乗り越えて社会を変えてきた道程を力強く語ってくださりました。「困っている人たちに鞭打つ社会を変えたい」と気を強く持たれて明石市を誰もが住みよい街に変貌させられた実績は圧巻でした。「子どもに優しい街はみんなに優しい街」「あたたかい政策にして街の景色を変え、市民の心を変える」など、聴衆の胸に沁みるお言葉を発していらっしゃいました。

明石市長時代、先生が力を入れていらっしゃったのは条例の制定です。手話言語・コミュニケーション条例をはじめとしてユニークな条例を施行され、成功事例を積み重ねられました。また、手を伸ばせば本が届く街を目指し、保育絵本士の養成にも尽力されました。講演後の質問において「当事者の議員がいてほしい」と回答に聴衆は感銘を受けました。

 

<連続医学講義:やさしいてんかん教室>

最後のプログラムは「第38回『やさしい』てんかん教室2 : てんかん医学連続講義」です。てんかん医療の最先端を行く先生方がてんかんの何たるかを詳説してくださりました。てんかん現場で医師が患者に求めるものは発作の動画、時系列で発作の様子が分かる描写であると教えてくださりました。治療にあたっては誰かに相談することの重要性も説かれました。特にてんかん治療の現場となる家庭の中に不安をとどめないよう注意を促しておられました。家庭の外で新しく出会う人にてんかんを伝え、本人が主体的に治療へ参加することが何より大切であると主張される一幕もありました。

てんかんを薬の視点から眺めたとき、薬を導入するタイミングが治療の肝であると解説されました。孤発発作の場合は薬を始めずに、2回目の発作以降の導入を推奨されていました。この際、薬は1剤から始めることが望ましいと語っておられました。こうしててんかん治療が始まりますが、どうしても止まらない発作も時にはあります。その際には外科手術が検討されると説いておられました。手術にあたってはMRIPETといった画像検査を通しててんかんを可視化した後、施術となります。早期の発見・治療が生命線であることを訴えておられました。

 

<おわりに>

 市民講座は最新の知識や情報を得る場でもあり、多くの人々との出会いや再会の場で

もあります。人々が集まれば新たな灯がともり、やがて社会を照らします。このような

素晴らしい機会を設けるために尽力されたすべての方に厚く御礼申し上げます。

 

 

ハンス・バーガー協会

生活支援員 太田健司