仙台てんかん医学市民講座 6月14日




57回仙台てんかん医学市民講座Ⅳ 2025春期33

「てんかんの話、もっともっと知ろう」に参加して

 

2025614日、仙台国際センター展示棟にて第57回仙台てんかん医学市民講座 Ⅳ 2025春期33回が開催されました。私は本年1月にハンス・バーガー協会に入職し初めての医学市民講座になりますが、57回の歴史の重みをひしひしと感じる講座でした。

 まず、初めに発表いただいたのは、お二人の闘病体験の発表でした。

一人目、「再出発、良い人生だったと言うために」と題した発表で、てんかんと戦いながら自立した人生を目指し決意をしたもので、これから充実した人生を送られるよう願わずにはらいられません。

二人目、「てんかんではなかった。そして今、てんかんの支援組織のスタッフになった。」と題した発表で、今までの人生を赤裸々に語っていただき、これからの素晴らしい人生を予感させられるものでした。年齢は私の方が歳をとっておりますが、職場では信頼できる頼もしい先輩です。

つづいてのプログラムは、「基礎から学べるてんかん教室 てんかんケア実践講座第13回で6名の方の発表でした。

まず初めに、脳波検査について、検査で分かることや、MRI検査との違い、脳波検査の種類、これからの脳波検査システムなど解りやすく解説していただきました。

次の発表は、脳波検査の中でも長時間ヴィデオ脳波同時記録がてんかんの発作時脳波異常がより多く確認でき、てんかんの診断治療にとって重要な検査だということがよくわかる発表でした。

次の発表は、外来看護について、てんかんは専門外来で治療管理するということで、てんかん診断・治療には医療だけではなく患者さんを知るための看護介入も治療の一貫として行うことが重要であることを教えていただきました。

 次に、重症・重度患者への多面的アプローチとして、障害や病状の重さだけではなく心理的、精神的安定への支援や社会復帰への支援でも集中的に適切な導きをしている入院看護の役割を教えていただきました。

 次は、就学前の幼児期の患者さんを対とした神経心理検査から患者さんとどうかかわっていけばよいかということを発表いただきました。知的能力の高さに合わせて対応すること、一律ではない個性に応じた支援、ケアが必要だと知りました。

 基礎から学べるてんかん教室てんかんケア実践講座の6人目最後は、てんかんでも毎日楽しく過ごしていくためのお話でした。今回は患者さんが自分で意思決定をしていくことができるようになるための本人及び周りも意識していく行動をリスクも含めて教えていただきました。

後半は、公明党てんかん対策プロジェクトチーム事務局長、横山信一財務副大臣のてんかん新薬の取り扱いについてのメッセージに続き、医学記念講演として「これからの小児神経疾患・てんかん遺伝子研究」のタイトルで東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野教授の菊地敦生先生に講演いただきました。病気の起こる原因を教えていただき、遺伝要因の強い希少疾患をゲノム解析で鑑別し、てんかんの発生要因などを解りやすく丁寧に教えていただきました。

続いて、障害ケア講演として「障害理解が変わった―統計と分類から見えること―」のタイトルで宮城県障がい者福祉協会会長、森正義先生に講演いただきました。日本における障がい者の実態把握状況を諸外国と比較していただき、障がい種別の分類次第で障がいの理解が変わり無理解や偏見も生じることを、てんかんも含めて教えていただきました。

最後に連続講義がありました。連続講義の最初は小児てんかん第9回、荒谷 菜海先生です。乳児期発症の自然終息性症候群のうち、素因性てんかん熱性けいれんプラスと乳児ミオクロニーてんかんについて講義していただきました。子育て中の親御さんは貴重な情報だったと思います。

次は、てんかんの診断学ABC3回、曽我天馬先生です。てんかん発作の分類について2017年から2025年アップデイトした内容について講義いただきました。てんかんの発作の型を学んでいく上で非常にためになる内容でした。

続きまして、てんかんの薬物治療Ⅲ―3、第36回曽我海馬先生に講義いただきました。20254月に販売開始された薬ブリ-バラセタムについての講義でした。薬の効果であったり、今までの薬では、何らかの理由で使用できないまたは、使用しづらい患者さんに使用できることを教えていただきました。

最後は、てんかんの看護第22回、海野美千代室長の講義でした。てんかんをかかえられた方の実例を通し、どのようにしていけばてんかんという病気を持ちながらも幸せな人生を歩めるかということ教えていただいた内容でした。

 

てんかんという病気を持つ人が、普通に幸せに生きていける社会になるよう力を合わせていく決意を新たにした有意義な時間でした。

 

                                            サポートセンターリーチェ

                                            生活支援員  吉田 潔