第23回 【東北地区ジェントルティーチング研修会】


 第23回 【ジェントルティーチング研修会】が、令和6年3月6日(水)に宮城県障害福祉センターにて行われました。

てんかん専門病院ベーテルより海野美千代室長・ハンスバーガー協会より支援員3名が参加いたしました。

〖ジェントルティーチングとは〗

 ・非暴力のアプローチである。

 ・非暴力を目標とした力に依らない方法である。

 ・相互の変容に基礎を置く。

 ・横柄で、冷たく、堅苦しい相互作用を確実に減らしていく。

 ・暖かく、信頼感に満ちた、相互に価値を与えあう相互作用を確実に増やしていく。

 ・Face  to  Face(1対1)の関係を築き上げることから始め、それを集団における生の文化へと発展させていく。

 ・「こういう時にはこうすれば良い」という決まった回答を与えるものではなく、援助者が生の文化を確実なものとするアプローチ

  である。

                                                                                       日本ジェントルティーチング研究会©

〖概要〗

 ジェントルティーチングは、John.J.McGee(1943-2012)氏によって始められた。

 アメリカ・ネブラスカ州Omaha市出身。大学卒業後、ブラジルの北東部ジュワゼイロにおける教育実践を通してジェントルティーチング

 の基盤となる相互依存による対人関係のあり方を学ぶ。その後、アメリカ国内のカンザス大学で研修を続行、学位を取得する。

 大学終了後はジェントルティーチングの実践、普及に取り組む。実践を続けている国々は、アメリカ以外に日本をはじめ、カナダ・メキシコ

 ・ブラジル・オランダ・デンマーク・ベルギー・ポルトガル・ニュージーランド・インド等、20か国にのぼる。

 

〖研修会の内容について〗

・講演 1.テーマ「ジェントルティーチングとは(入門編)」

        日本ジェントルティーチング研究会  代表  岩崎正子

・講演 2.テーマ「日本知的障害者福祉協会活動報告 ~権利擁護・虐待防止を中心に~」

        日本知的障害者福祉協会  会長  井上 博 氏

・講演 3.テーマ「やさしさをことばや表情にこめて」

        東北地区ジェントルネスセンター  副代表

        福島県運営適正委員会  委員長  村田 清

・「事例発表およびディスカッション」

     発表 1  山形県 社会福祉法人  愛泉会 

                 グループホーム支援センターなかやま

                 佐藤 陽子 氏

     発表 2  福島県 社会福祉法人  白河学園

                 児童養護施設  白河学園

                 園長   鈴木 栄一 氏            

・質疑応答

     コーディネーター  日本ジェントルネスセンター  代表  岩崎 正子 氏

     助言者                 社会福祉法人  栗原秀峰会  理事長  二階堂 明彦 氏

                  福島県運営適正委員会  委員長

                  東北地区ジェントルネスセンター  副代表  村田 清

                  東北地区ジェントルネスセンター  代表       菊池 昌三

 

〖研修会に参加したハンスバーガー協会 生活支援員の感想〗


 

23回東北地区ジェントルティーチング研修会を通して

 

 

20243月6日に宮城県障害者福祉センターにて行われた「東北地区ジェントルティーチング研修会」に参加しました。私はジェントルティーチングという言葉をこれまで聞いたことがなく、どんな意味があるか、何を指す言葉であるのか知りませんでした。参加にあたり事前に調べてみると「接し方によって肯定的な交わりの感情を築くもの」であり、これにより「傲慢な印象を人に与える行為」を減らし、「他者に対する無条件の価値付与」を行うとあり、研修会での学びを通して言い換えると「表情や行動、言葉遣いを通し安心、安全な関わりをもつことで気持ちを昇華するもの」であると知りました。

これを踏まえて今回の研修会に参加したところ、これまでの自分と利用者間における関わり方を振り返り、新たに自分の行動へと繋げられることやより良い関わり方への考えを深めるきっかけとなりました。利用者の方々との関わりにおいて権利を守り、互いを尊重し合う為にも身体的な虐待は勿論、無意識な心理的虐待というものに自他共に気に掛ける必要があります。私達支援員が利用者の方々と関わる上で、知的・精神障がいを持つ利用者さんは特に表情や声色の変化、細かい動作に敏感でありそれによって気持ちが落ち込んだり、ストレスが溜まったり、結果的に発作へ繋がってしまう事もありますので一層人によっては威圧的、攻撃的とも取れる所作、発言に注意しなければなりません。

ジェントルティーチングの観点からリーチェにおける人の関わり方を見てみると、私達支援員が気にかけ、改善すべきと思える点を見つけると同時に、利用者同士の関わりにおいてもジェントルティーチング的な関わりが必要であると感じる点や、ジェントルティーチングを用いれば起こらなかった、より適切に対応出来たのではないかと思える点があります。それらに対応する為に、すぐにでも取り組める方法として言葉の言い換え、挨拶が挙げられていました。実例として寂しさを伝えたり、関わりを持ったりと自分に目を向けてもらう為の手段として暴言・暴力・破壊行動を用いる方に対して無意識に目を逸らす、避ける等心理的虐待にともいえる行動を取ってしまっていたところを、積極的な挨拶や声掛け・柔らかい言葉遣い・優しい眼差し等の行動に変え、寄り添ったところ、暴力的な手段を使わずとも意思表示が出来るようになったとの話がありました。

また、リーチェ内の関わりにおいて私が耳にするのは「あの人は○○だから~」という言葉です。人と付き合う上で固定されてしまった考え方を変えるには時間がかかりますが、先入観に囚われずそれぞれが心を合わせ、一人一人に寄り添うべきであると今回の研修会を通して感じました。利用者さん本人においては「出来ない」、「無理」と行動する前から口にする方が多くいらっしゃいます。そんな方に対して強く指示や対応をするのではなく、促す形を取ったり出来る所、簡単な所から順を追って行ってもらうことで個々の出来ることを減らさず、出来ないことを少しずつ出来るようになってもらえるよう努めます。利用者さん同士の関わりにおいては、相手を想っての発言であっても口調が厳しくなっているが故に言われた利用者さんが傷ついてしまい、それに先入観も相まることで避ける・冷たい口調で話す・目を向けない等の行動を取ってしまっている場面を目にする事があります。利用者さん本人が互いにジェントルティーチング的に寄り添う気持ちを心掛けて生活することは中々難しいことかもしれません。しかし私達支援員が目を配り利用者さん同士の関わりに気を掛け、補足などをする形を取ることで互いを見え方が少し変わるのではないでしょうか。生活における感情変化を表情・行動等から読み取り、それぞれがより良い関わりを持ちながら作業などを行えるよう考えて参ります。自身を振り返ると、利用者さんと関わる際に意図せず命令・指示とも取れるような強めの口調で伝えてしまう事がありました。すると「やらされている」という思考を生んでしまったり、人によっては意思を表に出せなくなったり、指示がないと行動が出来なくなってしまいます。実際にベーテルにて研修を行っていた際、患者さんが「やらされている」、「入院しているのに働かされている」等という方がいらっしゃいました。患者さん、利用者さんに対し物事に取り組む意味、理由を伝えると同時に支援・援助であることを忘れず、互いが快く物事に取り組めるよう適切な口調や関わりを大切にしていきます。

 

今回参加した研修会を通しリーチェにおける様子やベーテルにて学んだ様子に似ている、繋がると感じた点やこれからの支援へ活用できると思うような学びに繋がる点が多くありました。それらを心に留め、日々の関わりの中で振り返ることでより良い支援が行えるよう努めていきたいと思います。

 

 

生活支援員  齋 世知